SIMGOT EM2 Roltion

久々に手にするSIMGOTの新作イヤホンです。名前の通り、EM2の二代目ということですが、音質も含めて様々なグレードアップが施されており、完成度の高い完全新作イヤホンと言えるのではないでしょうか。

はじめに

Roltionとはあまり見たことない単語だなと思ったのですが、「洛神」の読みから「Roltion」と名付けられているようです(Google翻訳で中国語「洛神」と入力すると英語「Luoshen」と出てきました)。ちなみにこの「洛神」、中国の伝説の伏義氏の娘を祀った洛水の女神だそうで、「洛神賦」という悲恋ものの文学作品になっています。「洛神賦」は画題にもなっているようで、なかなか派手なパッケージだなとは思っていましたが、そういうことだったのかと納得してみたり。

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また、「洛神賦」を書いたのは三国志曹操の息子の曹植で、なんてイヤホンからいろいろと中国の歴史や文化に思いを馳せてしまいました。

 

初代のEM2につきましては以前にも当ブログにてレビューさせていただいております。

kiliko3611.hatenablog.com

EM2もなかなか完成度の高いイヤホンだったので、二代目はどのように進化したのか、興味深い試聴となりました。

本体・附属品

附属品自身はケースは色が変わりました。個人的には前の色の方が好きだったりますが、作り自体は以前からと同じようで、たいへん実用性の高いものです。あとは、イヤーピースは開口部の広い中高域・解像度重視型と開口部の狭い低域重視型の二種類、4芯銀メッキケーブルと謎のバッジです。

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ケーブルは分岐パーツ、プラグはEM2附属品より高級感がプラスされています。QDC2pinタイプなところは同じですね。

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本体もパッと見た感じはEM2と同じかと思っていましたが、微妙に変わっています。公式によりますと、新たに金型を作り直しブラッシュアップしたそうで、確かに装着感が向上したように思います。

筐体カラーが5色用意されているのもEM2と同じで、こちらはブラックになります。

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スペックなどなど

1BA+1DDのハイブリッドイヤホンと構成はEM2と同様です。ドライバーはBA、DDともに変更されているようで、BAはKnowles RAF-32873からKnowles RAD-33518に、DDは同じ10mmですが、高分子複合チタンコート振動板からカーボンナノチューブ振動板に代わっています。それに伴い、スペックも向上しており、特にインピーダンスが10Ωから32Ωになったことで、より鳴らしやすいイヤホンに生まれ変わったようです。

 

EM2

EM2R

インピーダンス

10Ω

32Ω

音圧感度

≥101dB(at 1000Hz)

109dB/mW

再生周波数帯域

15Hz-40kHz

20-20000Hz

音質などなど

試聴環境はWindows PC、Beat Audio Emerald MKII、Fiio Q5s TCです。附属のケーブルと低域重視型イヤーピースにて。

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使い始めはずいぶん低域の量が多いなと感じましたが、数時間使用すると落ち着きます。

Q5sのボリュームは11時ぐらいで十分な音量です。

明瞭で解像感が高くすっきりした音だなというのが第一印象ですが、締まった低域が曲を下支えしている感じで、メタルを聴いても満足感が高いです。低域はかなり低いところまで出ており、不満は感じません。高域はかなり伸びますが、耳に刺さったり擦過音が気になることもありません(まぁ高域が聞こえにくくなる年齢なので若人が聞くとまた違うかもしれませんが)。

ドライバーの変更により高域、低域ともに強化されたのが音になって表れている感じです。

高域、低域が強化されてはいますが、中域が疎かになっているわけではないと感じますが、ボーカル曲はわずかに距離感があり、あまりボーカルが近いイヤホンが苦手な自分にとってはちょうど良いのですが、人によってはもう少し耳の近いところで鳴ってほしいかもしれません。

好物のメタルを聴くには大満足なイヤホンですが、違う分野、例えばルイ・アームストロングディオンヌ・ワーウィックあたりの懐かしのジャズ、ポップスを聴くと、ややドライ過ぎるかなと思わなくはありませんが、そういう意味ではあまり不得意が無かった先代とは音の作りが違うのを改めて感じます。

音場は広くはありませんが、特別に狭くもなくまぁ不満なく聴ける感じです。

今までのSIMGOTのイヤホンは先代を含め、心地よさみたいなのが一番の印象だったのですが、EM2Rはかなり攻めてきた、キャラクターが明確なイヤホンだと思います。

おわりに

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大幅にグレードアップして帰ってきたEM2 Roltionですが、ほぼ同じ見た目に反して、もはや新作、別物と思った方がいいのではと思います。いっそのことデザインももう少し変えて、別製品にしてもよかったのではと思うぐらいです。

個人的にはEM2よりEM2Rの方が好きですが、聴くジャンルによっては先代の方が好みだと思われる方も多いかもしれません。先代は現時点ではAmazonでまだ販売されているので、併売されるのかな?

1BA+1DDのハイブリッドイヤホンと言えば、今や安い中華イヤホンの代名詞のように思われている気もしなくはありませんが、EM2 Roltionはそれらとは一線を画す、まさしく「高音質」(Amazonで売ってるお安い中華イヤホンの常套宣伝文句)イヤホンです。

価格もそれらのイヤホンよりはちょいとお高めですが。

www.amazon.co.jp