Unique Melody MERLIN V2

Unique Melodyについての説明は今さら必要ないかと思いますが、中国に拠点を置くカスタムIEMのメーカーです。日本ではミックスウェーブ(株)が代理店となっています。

 

カスタムイヤホンにおいても当時は珍しかったハイブリッド型のMERLINを始めとして、特色のあるイヤホンを開発してきた同社ですが、やはり一般的にも広く人気が広まったのは、2014年末に販売されたユニバーサルイヤホンのMAVERICKからだと思います。美しいデザインと伸びる高域が特徴のMAVERICKは10万円を超えるイヤホンでありながら人気機種となり、Unique Melodyのイヤホンは。その後もカスタム、ユニバーサルの両分野において、新作が発表されるたびに大いに話題となるのは皆さんがご存知のことだと思います。

 

私もこのMAVERICKだけでなく、MACBETH、MAVISMAVERICK+とUnique Melodyのユニバーサルイヤホンを購入してきましたが、確かに商品に対する満足度は高いものの、締まりすぎた?低音に不満があり手放してきました。これは私が締まった低音だけでなく、やや量感のある低音が好きという個人的嗜好が影響していると思います。私と同じメタルが好きな方でも、MACBETHやMAVISがどんぴしゃと言っておられる人もおられますので。

 

何機種か買って合わなければもう自分とは縁が無いメーカーだと思えばいいのですが、どうもUnique Melodyというメーカーのイヤホンは“魔力”があるというか、惹きつけられてしまいます。新機種が発表される度に、ワクワクしてしまいます。

一方、多くのメーカーと違い、世界で発売されている機種=日本で発売、とはならず、ユニバーサルイヤホンは国別となっているらしく、MAVERICKも日本でしか買えないようです。であれば、日本で発売されていない機種の中に自分の好みにどんぴしゃなイヤホンがあるのでは、ということで購入したのがこのMERLIN V2です。

 

購入したのはアメリカのショップのMusicTeckになります。こちらはUnique Melodyだけでなく、FiioやEffect Audioなどイヤホンに限らず、DAPやアクセサリなども扱っているようです。

shop.musicteck.com

で、同ショップで販売されているUnique Melodyのラインナップは次の通りとなります。

  • UM CIEM Maestro V2 (Mason V2)
  • UM CIEM Mentor V2
  • UM CIEM Merlin V2
  • UM CIEM Miracle V2
  • UM Maestro Universal
  • UM Maestro V2 (Mason V2) Universal
  • UM Martian Universal
  • UM Mentor V2 Universal
  • UM Merlin Universal (Carbon Fiber Faceplate)
  • UM Merlin V2 (5 Driver Hybrid) (Carbon Fiber Faceplate + UM logo)
  • UM Miracle V2 Universal (Carbon Fiber Faceplate + UM logo)

いずれも日本では発売されていないと思いますので、どんな音かはドライバ構成から想像を逞しくするしか無いのですが、価格も気にしながら、今回は低音が強いカスタムイヤホンとして有名だったMERLINの新型であるMERLIN V2を選択しました。

MERLIN V2のスペックは下記の通りです。

  • DRIVES: QUAD BA & 1x DYNAMIC; CROSSOVER: 4-WAY
  • CONFIG: 2x HIGH, 1x MID, 1x LOW-MID, 1x LOW DYNAMIC
  • RANGE: 10 Hz - 20 kHz
  • SENSITIVITY: 108.4 dB SPL
  • IMPEDANCE: 43.2 ohm

LOWは1DDなんですが、LOW-MIDに1BAあるのがMERLINと違う点なので、こちらの方が低域強めかと思っての注文でした。

デザインはCarbon Fiber Faceplate+UMロゴでシンプルですが、他のモデルも同じデザインで、統一感はあるものの、価格やスペックによる差異がないのはちょっと寂しいかも。

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気になるのはケーブルのプラグの形状で、見た感じはUEのカスタム機やqdcの各イヤホンのそれに似ているように思います。2ch、ブログ、Twitterでもいろんな情報があり、まだはっきりわからない感じです。UMのFacebookを見ると、Beat Audioから新形状のプラグ用ケーブルのオファーがあったみたいなエントリーがありますので、近々、正式に発売されるのではないでしょうか。

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聴き始めの印象は、MAVERICK Ⅱと同じドライバ構成という先入観があったせいか、高域をやや抑えて、低域を強くしたMAVERICKまたは高域を抑えたMAVERICK Ⅱという感じでした。

 

今回はDAPはAK70を使用しました。評価用の曲は下記の通りです。

MERLIN V2のイヤーピースはスパイラルドットMLサイズ、final E Mサイズを使用しています。

・I'd really love to see you tonight/Barry Manillow(16bit/44.1kHz)

・十戒(1984) 30th anniversary mix/中森明菜(24bit/96.0kHz)

・金田 KANEDA Symphonnic Suite AKIRA 2016/芸能山城組(24bit/192.0kHz)

・April Rain/Delain(16bit/44.1kHz)

“I'd really love to see you tonight”ではバリー・マニロウの甘いボーカルが少しの距離を置いて、高域や低域に埋もれずに聴こえますが、この曲のノリの良さみたいなのはやや減退している感じです。

“十戒…”はこういう新録にありがちな昔の勢いには欠けますが上手くはなったでしょ、みたいな感じでイマイチ好きではないのですが、このイヤホンのじっくりと聴かせるという特徴に合うように思います。

“金田…”ではやはりこの曲の通底音のガムラン?にスピード感に欠けるように思います。

“April Rain”ではドラムに深さがあり、アンネ嬢のきれいに伸びるボーカルが遠からず近からずの距離感で聴くことができますが、ノリノリという感じではありません。スピード感に欠けるというか、ちょっとゆったりとした感じです。

DAPを変えたり、イヤーピースを変えたりすることにより、若干の変化はありますが、基本的な傾向は変わらないように思います。ただ、DX200ではかなりずっしりした低音が気持ち良いとだけ付け加えておきます。

 

ちょっと厳しい感じの評価になりましたが、高・中・低域のいずれも過不足ありませんが、強いて言えば中低音が特徴と思います。明瞭感、解像感も申し分なく、音も前後左右に広がる感じで、見晴らしよくスケール感もいいのですが、惜しむらくはスピード感というかノリの良さに欠ける感じです。予想と全然違いましたが、管弦楽メインのクラシックあたりとはかなり相性が良く感じました。

 

って、それって私が好きなメタルを聴くには致命的じゃね?